新型ゴルフ日本発売 3気筒1.0Lモデルを好印象にさせたマイルドハイブリッドの恩恵とは?
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 209
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:フォルクスワーゲン グループ ジャパン 209
試乗は1.0Lのほうから。車両重量1310kgを動かすのに十分かどうかを確かめるべく、2人乗車で高速道路へ向かった。料金所を通過し、アクセルペダルを深く踏み込む。ブーンという3気筒らしい音が聞こえるが、音量と振動はよく抑え込まれていて、安っぽさ、不快さはない。肝心のパワーは、速いわけではないが、かったるいほどでもない。十分。記憶の中の従来型の1.2L版と比べると、同等かやや上回るといったところ。
いったん巡航速度に達してしまえば、そこからはひたすら快適で、安心感が高い、歴代ゴルフオーナーにおなじみの世界に包まれる。ほんのわずかなステアリング操作に対しても正確に応答し、路面から入力があってもすぐに収束するボディ剛性の高さを感じさせる。直進安定性は文句なし。120km/hでのクルージングがここまで快適なクルマはこの価格帯には少ない。8世代目も相変わらず実用ハッチバックのお手本だった。
一般道でストップ&ゴーを繰り返し、MHEV化の恩恵に嫌というほど預かった。フォルクスワーゲンが何年かけても解消できないDSG(デュアルクラッチトランスミッション)に起因する発進時のギクシャクが、モーターアシストによってほぼ打ち消されていたのだ。DSGとMHEVの素敵な結婚だ。MHEV化によって実用燃費がどの程度上がるかは不明だが、このスムーズな発進を得ただけでも意味がある。もちろんアイドリングストップからの再始動も振動はほぼなし。発進加速のアシストっぷりは全開加速時よりも少し踏んだ時にわかりやすい。エンジン、トランスミッションの苦手な部分を打ち消すシステムだ。
これまで他の欧州車に採用されたMHEVに乗っても正直あまりメリットを感じられないでいたが、小排気量エンジンにこそ向いているのかもしれない。高価なシステムなのでまだリッターカークラスには採用例が少ないが、ゴルフが先鞭をつけ、今後増えるかもしない。
続いて1.5Lに乗り換え、ほぼ同じコースを走行した。スムーズな発進や車体に関する印象は同じ。エンジンがパワフルな分、全体的にトルキーで力強いという想像通りの印象を得た。4気筒だからといって、3気筒エンジンに対して音と振動の面で格段に有利という感じでもなかった。文字量の違いでおわかりいただけると思うが、相対的に1.0Lのほうが好印象だった。1.5Lのほうが全域で高性能だが、マイルドハイブリッドが七難を隠していて1.0Lの健闘ぶりが目立ったのだ。“必要最小限のパワートレーンを使い倒すのがインテリジェント”という日本における欧州車好きの矜持みたいな部分も満たされる。どちらを選んでも失敗はないことを請け負う。
ちなみに従来型同様、リアサスは上級な1.5Lはマルチリンクで、廉価な1.0Lはトーションビームだが、トーションビームがダメというわけではないどころか、言われなければわからなかった。
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